天使ではないが、何故エヴァが天使を待っていたのか。瞳で問うと、エヴァは未だ空気に漂う赤い布を指差した。
「人の魂」だと少女が言ったのを思い出す。
「あれは私の両親なの。殺されたの」
何に、と聞く前に少女告げた。
「悪魔に」
「・・・済まない」
口から出た言葉は謝罪。彼女の両親を殺したスパーダではない。けれど卑劣な同族仕業に吐き気がした。
「何故あなたが謝るの?・・・自業自得よ。父と母は禁忌とされている魔の森を荒らしたの。森にいた悪魔を怒らせたのよ・・・止めたのに、忠告を無視したから・・・」
殺されたのだと。
その死を当然のように言いながらも涙を流すその姿を綺麗だと思う。
そして、面白いとも。
スパーダは少女の涙を拭った。その優しい手つきにエヴァは微笑む。
「私は異国から来た。わからないことだらけで不安なのだが、私に教えてくれるだろうか」
風が吹き抜ける。
少女は大きな大人を見上げ、その手を取ると、強く握りしめた。
「私でよければ」
少女が住んでいたのはこじんまりとした家だった。それでも両親と暮らしていたのか、あらゆるところに生活感が溢れている。とても暖かな空気を感じるほどの家の中で、スパーダは大きく深呼吸をした。
「スパーダ・・・あなたがいてくれて良かった」
「ん?」
ソファを勧められ、座るスパーダ
隣にゆっくり腰を下ろしたエヴァは赤い目元で笑う。大人びてはいるが、やはり子供なのだ。両親を失った悲しみと喪失感はスパーダにはわからない。それでも、自分がここにいることてエヴァが落ち着けるならばそれもいい。
「ずっとここにいることはできないが、できるだけそばにいよう」
「いいの。あなたがいると嬉しいけど、私はそれを望んでないから」
「・・・なぜ?」
「だって、あなたはこんなところでのんびりしていてはいけないもの」
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中途半端ですが、今日はもう落ちます。すいません;追記します。
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