ある歌が私にはこう聞こえました。
スパエヴァです。
続きからどうぞ。
少女の上に広がる空は青く、果てしない。けれど、それを見つめる少女の瞳がどこか悲しそうで、綺麗な空も悲しげに見えてしまう。
スパーダは息を飲んだ。まだ幼い少女のその瞳に見惚れる自分に驚き、その心に戸惑う。
なんという強い瞳だろう。彼女の瞳は空を映してはいるが、見てはいない。
殺戮ばかりの魔界。そこで生まれ育ったにも関わらず、スパーダは他の悪魔とは違う心を持っていた。
魔界いで力を持つ者が人間界を脅かそうとするのを黙って見ていられなくて人間界に降り立った。
人の姿は仮ではないにしても、人間ではない自分が受け入れられるとは思っていない。そんなことを求めているはけではないのだ。
ただ守りたい。
その気持ちは美しい風景を見たとたん強くなった。
更にこの少女を見つけたことに心は揺さぶられる。
彼女がなにを見ているのか気になって、つい動いた。
隣に立ち同じように見上げる。
青い空に赤い布が舞っていた。それは風に漂い、何処へともなく空を漂う。
「あれは人の魂なの」
少女は気配を消していたはずのスパーダに気づき、空を見上げたまま呟いた。
突然口を開いた使用時9に驚いたスパーダは驚き、声を失った。
なにも言わないスパーダに少女は振り向き、空ではなく彼を見上げる。
「こんにちわ。・・・あなたは空から来たの?」
「・・・?」
スパーダは小首を傾げた。自分がいる世界は闇だ。空も地中も、どこでもない。確かに、降りて来たが、空からではないのだ。
「違うの?とても・・・空の色みたいに綺麗な目をしているから、天使かと思ったの」
大人びた少女の言葉に瞬きを一つ。
綺麗、とは何だろう?自分の目?
「私の目が、綺麗とは、どういう意味だ?」
低い、けれど、耳に心地よい声に少女はふわりと笑った。それは幼いものではなく、女性のもの。
「綺麗ってわからない?・・・この景色、どう?」
少女はスパーダに背を向け、空を仰いだ。
小高い丘から見下ろす風景は緑に溢れ、青い空とエメラルドの海が彼方に在る。
その景色はスパーダの心を波立たせた。
「・・・苦しい、な」
「苦しいの?」
「私には眩過ぎて、見ていられない。心が鷲掴みにされる」
「それを感動と言うの。そして、綺麗だから感動するのよ」
諭すような言葉はすんなりとスパーダに降り注がれた。
この少女は一体何者なのだろうか。
成長の早い悪魔でも、こんなに大人びた者は珍しい。言葉を持ち
、理性を持ち、自分を知り、他人を知ろうとする。
これが、人間なのか?
自分が知るうちでは、こんな少女がいるなんて。
「・・・私はスパーダ。君の名前を聞いてもいいだろうか」
くるりと回転する少女の体。
くるぶしまであるふわりとしたスカートが揺らぎ、長い髪がなびいた。
ブラウンの髪が太陽の光に輝き、同じ色の瞳にスパーダを映した。
「私はエヴァ。・・・貴方を待っていたわ、天使さま」
天使ではない、そう言う間もなく、少女の瞳からは今までの笑顔やそぶりが嘘のように涙が零れ落ちた。
******
続きます。エヴァの目の色がわからない;;
PR