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優依の独り言
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Twin Rose5
※黒ネロとネロが女の子で双子です。
※キリエは男です。(名前:キリア)
※クレドは男です。

見るのは好きだけど書くのは苦手なアクションシーンです。

R16です。

OKな方は続きから。 
 振り下ろされたリベリオンを悪魔の腕で難無くうけとめる。そのまま振り投げる。バランスを崩した体は床へと叩き付けられる・・・のを予想していたのに男は身軽に回転すると無惨に固まったベンチの上に座った。
 刀身だけでネロの身長分ある大剣を弄び、彼女に向ける。
「まだやるか、お嬢ちゃん?・・・来いよ。遊んでやる」
 なんだろう。この男の余裕は。侵入者は目的を果たしたら退却するはずなのに。
 余程自信があるのか、それとも馬鹿なのか。・・・いや、あれほどの剣捌きと身のこなしはただ者じゃない、と。
 なら試してみるか。 
 ネロは゛お嬢ちゃん゛と呼ばれることを気にしながらも男を睨み付ける。
「おっさんのくせにタフだな。じゃあ・・・」
 弾かれて床に突き刺さっていた剣を抜き、ベンチを蹴り飛ばした。男に向かうベンチは勢いよく突っ込む。しかし、そこに男の姿はなく。ベンチ同士が衝突した。男はベンチが当たる直前に飛び上がっていた。それを予想していたネロは男に向かって飛び上がり、宙で剣が交わる。
 鋭い音を響かせて擦れ違う。男はトン、と降り立ち振り向いた。その先でネロは積み重なったベンチの山の頂上に座っていた。
 
「徹底的にたたくまでだ」
「そりゃ楽しみだ」
 両手を広げて楽しそうな態度にネロは苛立つ。自分が女だと見下げられている気がしてならない。
 ベンチの山から飛び降り、男に切りかかった。

 カリバーンで攻める。しかし、男の大剣にそれは幼稚に見えるほど頼りなくて、弾かれてしまう。
 だが、ネロは解放された右腕で男に殴りかかった。大剣を横にして幅のある刃でうけとめられる。が、通常の打撃とは違い、悪魔の右腕から繰り出される衝撃は女性のもの、と言うより、人間を超えていた。ダンテの体゛と押しやられる。が、それを追って足を掴んで叩き伏せ、顔面殴打した。
 それだけでは飽き足らず、右腕で男の頭を掴むと、まるで人形のように投げ飛ばした。直後に、男の大剣を投げ込む。
 男の体はスパーダ像に背中を打ち付けてバウンドし───落ちるより先に大剣に胸を貫かれてスパーダ像にぬいつけられた。
 
 やっと仕留めた、と。ネロは軽く息を吐いて肩を慣らす。もうすぐ騎士隊が来るだろう、と出入り口の方に視線を向けようとした。
 
「やるな。ちょっとお前の力を甘く見てた」
 耳に届いた声は確かに・・・男の声。まさか───けれど、振り向いた先、男が顔を上げて、ネロを見ていた。
 剣を胸が刺さったまま降り立つ。
 男の大剣は主の胸を刺し貫いている。それなのに男は平然と・・・まさか。
「人間じゃない」
 声が震えた気がした。どこからどう見ても人間なのに。
 男は胸から見える刃を挟んだ。
「お互いさまだろ。お前も俺も」
 ずぶ、と剣を抜く。血飛沫が散り、足元を染めた。
「・・・こいらも」
 完全に剣を抜き去ると、男は転がったままn騎士隊員を示すように腕を凪いだ。釣られて視線を向けた先。
 騎士隊員の亡きがらは人の形をしていたけれど、焦げたような黒い肌と赤い目玉。開けっ放しの唇のない口。

「お前は少し違うみたいだがな」
 遠ざかる声に視線を戻すとそこに男の姿はなく、咄嗟に見上げれば男が侵入するために突き破った天井に立っていた。
「何の話だ!」
 人間じゃない。でも少し違う。そんな男の言葉の意味がわからず追求してしまう。けれど、男は笑ってはぐらかした。
「そのうちわかるさ。俺は仕事があるんでな」「おい!!」
 軽く手を降る男に弾丸を撃ち込むが、すでに姿は無く。
 一呼吸おいて、男は顔だけ覗かせた。
「Adios、お嬢ちゃん」
 指を二本揃えて軽く振ると、今度こそ男は姿を消した。


 一体、何者なんだ。
 人間じゃないなら、何だと言うのか。


 漸く駆け付けた騎士隊が転がっている隊員を運んで行く。単に男にやられたにしては風貌が変わりすぎている。
 何が起きようとしているのか・・・ネロは男が去って行った割れたステンドグラスを見つめた。



 とん、と微かな着地音に黒ネロは笑みを浮かべた。民とまぐわっている時に見かけた男だと。そして、混乱の発端だと確信する。
「ねぇ。アンタ、どこから来たの?」
「・・・さっきのお嬢ちゃんとは違うな。双子か」
「ご名答。でも、あんなのと一緒にしないで欲しいな」
 男は一瞬驚いたようだが、似てはいるけれど全く違う雰囲気の彼女が双子の片割れと知る。 黒ネロのしなやかな腕が伸び、手の平が男の胸に触れる。
「ふふ・・・イイ身体。ね、アンタはどんな風に女を抱くのかな?」
 双子にしてはあまりに違う表情、性格。男が口元だけで笑うと、それを了承と思ったのか、黒ネロが唇を寄せる。だが、叶わなかった。
  黒ネロの手からすり抜ける男。黒ネロは途端に視線を鋭くさせた。
「・・・逃げるの?」
「まさか。・・・ガキは趣味じゃない」
「貧乳は趣味じゃない?」
 でも感度はイイんだよ。離れていく男の背に向かって言葉を投げる。男は一旦足を止め、
「誰にでも体を開くようなお嬢ちゃんは俺は持て余しそうだ」
「・・・弱虫」
「そうかもな」
 男は笑って、姿を消した。
 その向こうで、魔の気配が近づいていた。 



 

 散乱した大聖堂。天井には穴が空き、崇拝するスパーダ像の顔はつぶれ、ネロが投げた巨剣によって見るも無残な姿になっていた。クレドは周りを見た後、スパーダ像をじっと眺めた。
 教皇が崇拝するスパーダ。その教皇に心身ともについていくクレドは静かな怒りに溢れていた。
 ああ、きっと任務が下るな、とネロは予想していた。そんな中、ずるずると引きずる音が響く。
 キリアが彼の身の丈ほどもある鉄のトランクを引きずっていた。教団のマークがつけられたそれは、ネロだけが所有する剣。
「もってきたの?」
「クレドに頼まれたから」
「助かるよ。これで仕事が楽になる」
 キリアの手からそれを受け止める。男のキリアが引きずったほどの重量がある鉄のトランクだが、ネロは片手でそれを持ち上げ、翻した。
 止め具を外して開けると、そこには剣の部品が鎮座していた。
 教団の剣は推進力を得るためにエンジンのようなものがついている。一般剣士用のカリバーンやクレドが持つデュランダルよりも刃は大きく、その推進力も比べ物にならない。
 柄と刃を繋げ、噴出口の着いた排気ノズルを刃の背部分につける。刃を更に固定する。ネロの剣はリミッターカットを施しているため、噴出口の数は最大の四つ。
 教団の中で、唯一ネロだけが操れるレッドクイーン。
 それを軽々と片手で持ち上げ、肩に乗せた。
「で、さっきの奴はどこに行ったんだよ」
「フォルトゥナ城だと思うよ」
 何時の間にいたのか、黒ネロが大聖堂の大扉から姿を見せた。
 逃げる際に落としたネロからのプレゼントを手にしたキリアが、彼女の無事な姿にほっとしてかけよる。
「無事だったんだね、黒ネロ」
「もちろん。シャワー浴びてたんだ。ごめんね。歌聴けなくて」
「また歌うから、その時は聞いてくれるね?」
 キリアの希望に黒ネロは笑顔で答える。それは、年相応のもので、ネロは人の前で態度を変える黒ネロに吐き気がした。
「・・・で、お前、敵を逃がしたのかよ」
「逃げ足速かったからね・・・追いかける自信、ないの?」
「・・・まさか」
 挑発したつもりが逆に挑発とも取れる黒ネロにネロは怒りを抑えて不適に笑う。それに満足した黒ネロは、"頑張ってね"とだけ言うとクレドが止めるのも聞かず大聖堂から出て行ってしまう。
 黒ネロがいるだけで雰囲気を変えてしまった空気を振り払うように、ネロはレッドクィーンを噴かした。
「フォルトゥナ城か。殺人鬼が観光めぐりとはね」
「真面目にやれ」
 ふざけたようなネロの態度にクレドが叱咤する。が、聞きなれているネロは低い声にもものともせず自分の背ほどもある剣を背中に備えた。
 

「逃がすなよ」
「わかってるさ」
 
 言われなくても、逃がすつもりはない。信仰はどうあれ、平穏を守ってきた。キリアの悲しそうな顔は見たくない。
「無理をしないでね」
「それが仕事なんだ」
 自分の任務は「汚れ専門」。ネロの常人ならぬ実力と・・・馴れ合えない性格からか、常に単独で悪魔を相手に剣を振るう。それは危険を伴う任務だとわかりながら、ネロは女でありながら叩き潰してきた。それが、キリアに心配をかけていることもわかっているが、死ぬようなヘマはしない。
 絶対にあの男を・・・と思ったネロの視界。キリアの胸に、光るペンダントが揺れていた。
 思わずキリアを見上げる。
 男性の優しい笑みにネロはほんの少しどき、とした。それを隠すかのように鼻頭を指でなぞる。
「・・・非常事態だしな」
 自分が行くしかないのだと、キリアに言い聞かせる。その背後で、クレドが
「私は本部に戻る」
 と、足早にその場から離れようとした。
 二人きりになる、という状況に向かい合ったネロとキリアが気まずそうに線を泳がせる中、揺れる足元に緊張感が走った。
 

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