仕事から帰ったネロの目の前に、信じられない光景が広がっていた。
思わず立ち止まり、瞬き一つ。
見間違えなどではなく、そこに。
ダンテが二人、いた。
「なんでここにいる」
「つれないな、Honey。お前に会いに来たんだぜ?」
ダンテのそっけないセリフにも動じない黒いダンテは両手を挙げてさも寂しそうに言うけれど、表情はいたずら的笑顔で、ダンテは眉を潜めた。
「誰がHoneyだ」
「素直になれよ、ダンテ」
「とっととブラッディパレスに戻れ」
まったく黒ダンテに取り合おうとしないダンテは雑誌を広げて、視界を遮断する。
その雑誌は当然のように黒ダンテに取り上げられ、ダンテは机を叩いた。
「オイ」
「ん?」
「なにがしたい」
「せっかくブラッディパレスから出てきたんだ。楽しませろよ」
ダンテの顎鬚に触れる手が、唇をなぞり、胸元へとさまよう。
机に上半身を乗り出した黒ダンテは舌なめずりをして、チャックを全開にすると、露になった肌にルシフェルを突き刺した。
「ぐっ・・・」
赤い剣が肩や胸、腹に突き刺さる。ダンテは爆発に身構えたか、それは突き刺さったまま姿を変えなかった。
「・・・?」
「そいつはルシフェルだが、俺のは爆発の制御ができるんだ。便利だろ」
流れ出した血を舐め、ごくりとつばとともに飲み込む。
「ヤるかヤられるか・・・それとも、殺り合うか?」
またルシフェルがダンテに突き刺さる。痛みは一瞬で、それ以上の感覚はない。爆発がないだけ随分楽ではあったが。
ダンテは不敵に笑った。
「やめとけ・・・俺に手を出したら、坊やがお前を殺るぜ?」
ちき、と金属がこすれる音が聞こえた。
黒ダンテはそこにネロがいることを知っていながらも行為を続けていたが、銃口を向けられて諸手をあげる。
「ダンテから離れろ」
「よう、kid。そんなんじゃ俺は殺れないぜ?」
「わかってるよ、そんなことくらい」
そう言いながらも、弾丸を撃ち込まずにはいられない。
もちろん、予想した通り簡単に避けられてしまったが、その姿が希薄になっているのに気づいた。
黒ダンテの向こうのダンテの姿がうっすら見える。
「・・・なんだ・・・?」
ネロの訝しげな表情に気づいた黒ダンテも自分の体の異変に気づき、”Sit!”と呟いた。
「時間切れか・・・仕方ねえ。おい、ダンテ、KID。・・・また来いよ、ブラッディパレスに」
いつでも待ってるぜ、といい残して、黒の姿は言葉通り消えてしまった。
ダンテを貫いていたルシフェルも消え、血の痕だけを残して傷も塞がる。
ブルーローズをくるくる回してホルスターに戻したネロはゆっくりダンテに近づき、その赤い血に舌を這わせた。
「・・・ネロ、どうした?」
「アイツ、なにしに来たんだよ」
「さあな・・・ブラッディパレスの頂上にいるのは退屈なんじゃないか」
アイツはブラッディパレスだけの存在だから、降りてきても長時間体を保っていられない。だからこそ応戦もしないし、言葉の相手をしてやった、とダンテは言う。
ダンテの血を舐めながら、ネロはヤられるのはいやだけど、殺りあうんだったらまた行ってやろうかな、と思っていた。
・・・というわけで赤と黒の話。今度はきっと、ネロがBPに行く前にダンテが行って、ヤるかヤられるか・・・はたまた殺り合うかわからないけど、書こうかなと思います。
赤と黒のアンケートコメントくれた方、ありがとうございますっ
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